2023年12月25日月曜日

イブご飯

スティックサラダ
ロマネスコ
グリーンサラダ
アヒージョ
バゲット
ミネストローネ
ロースト・チキン・レッグ
スパークリング・ワイン
ポッキー


2023年12月6日水曜日

冬迎 2023

冬迎(ふゆむかえ)は一入亭という古民家を豪雪から守るためのそなえです
この地方に伝わる民俗的なしきたりでもないし何か美味しいものを食べるわけでもない
家の周りに雪囲いの板を下ろして茅葺きの屋根にはシートを掛けるという大切な労働です

雪囲いの板を降ろす作業は技術的に難しいことはありません
しっかりと板が十手(じって)という金具にはまっていれば問題が生じることはありません

屋根のシート掛けはそうはいきません
シートがきっちり掛かっていないと強風で飛ばされたり破られてしてしまいます
どうやってきっちり掛けるかはほんの数行では説明できません
じっさいに何度もやり何度も失敗してようやくこの頃なんとかできるようになりました

それと今年から協力してくれる人を得ました
その人の働きがほんとうに素晴らしいのでシート掛けはほとんど1日で終わってしまいました
息子とやっていた時は2日かかっていました
屋根職人に依頼していた時でも1日半かかっていたのです
ありがたいことです

シートを掛ける前
棟からシートを掛けます
最後はシートで屋根を覆いつくして下ります
シートを掛け終わりました
無事に来年の春を迎えられますように!


2023年9月27日水曜日

『80歳の壁』和田秀樹


あ 歩き続けよう 歩かないと歩けなくなる
い イライラしたら深呼吸 水や美味しいものも効果的
う 運動は体がきつくない程度に
え エアコンつけて水飲み 猛暑から命を守れ
お おむつを恥じるな
か 噛めば噛むほどに、体と脳はイキイキする
き 記憶力は年齢ではなく、使わないから落ちる
く 薬を見直そう 我慢して飲む必要はない
け 血圧、血糖値は下げなくていい
こ 孤独は寂しいことではない 気楽な時間を楽しもう
さ サボることは恥ではない 我慢して続けなくていい
し 自動車の運転免許は返納しなくていい
す 好きなことをする 嫌なことはしない
せ 性的な欲もあって当然 恥ずかしがらなくていい
そ 外に出よう 引きこもると脳は暗くなる
た 食べたいものは食べてよし 小太りくらいでちょうどいい
ち 「ちょっとずつ」こまめにやるのがちょうどいい
つ つきあいを見直す 嫌な人とはつき合うな
て テレビを捨てよ 町に出よう
と 闘病より共病 「在宅看取り」の選択もあり
な 「なんとかなるさ」は高齢者の魔法の言葉
に 肉を食べよう しかも安い赤身がいい
ぬ ぬるめの湯 浸かる時間は10分以内
ね 眠れなかったら寝なくていい
の 脳トレよりも楽しいことが脳にはいい
は 話したいことは遠慮せず 話せば気分も晴れてくる
ひ 病院は「かかりつけ医」を決めておく
ふ 不良高年でいい いい人を演じると健康不良になる
へ 変節を恐れるな 朝令暮改は大いに結構
ほ ボケるのは悪いことばかりじゃない
ま 学びをやめたら年老いる 行動は学びの先生だ
み 見栄を張らない あるもので生きる
む 無邪気になれるのは老いの特権
め 面倒なことほど実は面白い
も もっと光を 脳は光でご機嫌になる
や 役立つことをする 自分の経験を生かせばよい
ゆ ゆっくりと今日を生きる 終わりは決めない
よ 欲望は長生きの源 枯れて生きるなんて100年早い
ら 楽天主義は高齢者にこそ必要
り 「リラックスの呼吸」で老い退治
る ルールは自分で決めていい
れ 「レットイットビー」で生きる
ろ 老化より朗化 これが愛される理由
わ 笑う門には福来る

2023年9月20日水曜日

『生物はなぜ死ぬのか』小林武彦

ヒトはたった一つの細胞から進化してきました
地球上にまったく奇跡的に初めて出現した生物はたった一つの細胞でした
それが様々な進化を繰り返しながらヒトという生物になったのです

進化は環境への適応です
その進化を支えているのは絶滅です
絶滅が無ければ進化はありません

どういうことでしょうか?

地球上にはおびただしい数の生物が存在します
それらの生物は地球環境の変化と他の生物との生存競争にさらされます
環境に適応し競争に勝った生物は進化します
適応できず競争に負けた生物は滅亡します
進化した生物は絶滅した生物の身体と餌を食べてまた進化する機会を得ます

その絶滅の最小単位が死です

子は親よりも常に優秀です
「うちはちがう」と言う方もいるかもしれません
残念ながらそれは勘違いです

親が死に親より優秀な子がこんどは親になりその親より優秀な子が生まれる
これが生物に共通する進化の道筋です
生物は死ぬことによって進化するようにプログラムされているのです


2023年8月20日日曜日

『最強脳』アンデシュ・ハンセン

以前にハンセンさんが書いた『スマホ脳』という本を読みました
多くの人が愛用するスマホがどれほど人体に悪影響があるかを医学的に解説した本です
なのでまたスマホの弊害について書かれた本かなと思いました

ところがそうではなかったのです
ハンセンさんはこの本でひたすら「脳を強くするために運動をしよう」とすすめているのです
そのことが子供向けの本のようにとてもわかりやすく書かれています
それもそのはずです
この本はハンセンさんの『一流の頭脳』を子供向けに書き直した本だからです

ではなぜ運動をすると脳が強くなるのか?
そのためにどんな運動をしたらいいのか?

適度な運動をしたあとはふだんよりも集中力が高まり発想力が豊かになります
運動してスッキリした後に何かすると以前よりも良くできるような気がすることがあります
これを習慣化して定期的に適度な運動をすると脳はどんどん活性化されていきます

ずっと大昔に人類は進化の過程でこのような脳の仕組みを獲得していたのです
それはまだサバンナで暮らしていた頃に長い時間をかけて形成されたのでした
私たちは現代でもそのような脳の仕組みのもとで生きているのです
ハンセンさんも私もあなたもw

人類の脳は1万年前と比べてほとんど進化していないのです
ところが産業革命以降わずか数百年の間に私たちの生活は激変しました
その変化を私たちは知っているとしても脳の仕組みはその変化に追いついていないのです
なので脳を強化するには人類の多くがまだ狩猟採集をしていたころの習慣が役立つのです

最強脳のための運動は次の条件に当てはまるものが好ましいとされています
頻度は週に3回程度で一回につき30分以上の時間の運動です
運動は何でもかまいませんが心臓がドキドキする程度の強度を維持する必要があります

じつはハンセンさんがこの本で言っていることを私はすでに10年近くやっています
ハンセンさんの本を読んで始めたわけではなくて自分の生活習慣としてです
ざんねんながらそれで私の脳が劇的に強化されたとまでは思いません
ただ運動をした後に頭を使うのが私にとって心地よい習慣であることは疑いありません

2023年8月13日日曜日

一行レシピ 枝豆


枝豆を洗い300g当たり水1.5Lに塩大匙1入れ沸騰させ枝豆入れ再沸騰2分茹で湯切り塩まぶし

2023年8月8日火曜日

『大江戸リサイクル事情』石川英輔


今からちょうど30年前にわたしは新潟にある茅葺き古民家の修理を始めました
その当時日本経済はバブルがはじけて先の見えない不況に突入していました
経済成長一辺倒の暮らしの失敗とその反動から江戸という時代が見直されていました
その頃に石川さんはこの本を書きました
石川さんは成長頼みから脱却し江戸に学んだ持続的経済への転換を訴えました

江戸時代の日本では食料もエネルギーも完全に自給されていたのです
鎖国していましたからね
自給だけでなくあらゆる物は極限までリサイクルされほとんどゴミのない社会が実現していました

この本が書かれてから30年が経ちましたが何かが変わったでしょうか?

食料自給率(カロリーベース)は43%から38%とさらに5%も低下しました
1日3食のうち2食は海外から出前をとっていることになりますw
国土の狭い他の先進国と比べても圧倒的に低い自給率です!(イギリス63%、イタリア60%)

エネルギー消費(一次エネルギー消費量)は世界第4位だったのが第5位になりました
経済的な地位は大幅に低下したのにエネルギー消費はだけは依然として上位です
原油や天然ガスの輸入価格が高騰し電気、ガス、ガソリン、石油の価格に影響しています
この状況を追い風に国民の間に原発依存の傾向が強まっています

つまり30年前より食料自給についてはさらに悪化しています
エネルギーに関しては足踏みしていますが改善の見通しは全く立っていない状況です
それに加えて世界的な気象の危機が将来を一層暗く見せています

このような現在地に立って自分に何ができるでしょうか?
まずはこの本で印象的だったことを心にとめて自分の生活を見直してみるしかない

どのような根拠か明示されていないけれどこうなのだそうです

「かつての稲作農家では、収穫した藁の20パーセントぐらいで日用品を作り、50パーセントを堆肥や厩肥などの肥料とし、残りの30パーセントを燃料その他に使った。燃やしたあとの藁灰もカリ肥料になった。100パーセント利用し、いずれはすべて大地に戻した。完全リサイクルしていたのである」

「昔の農家では、1人1年間に、背中当てと蓑が各1着、藁草履が15足、草鞋が10足ぐらいの割合で必要だった」

「蓑を1着作るのに3~4日、藁草履は、慣れた人なら1日かかり切りで20足、草鞋は15足ぐらい作ることができたという。自家用以外は、もちろん現金収入を得るために売ったのである」

「江戸時代の日本人が使っていたエネルギーは、一人当たりせいぜい今の百分の一程度にしかならない。おまけに、人口は現在の四分の一の三千万人で、江戸時代を通じてほとんど変化しないから、エネルギーの総使用量は、現在のわずか数百分の一程度だった」

「本当のリサイクル社会は、江戸時代のように人間が自分の肉体を主な動力源とすることまで含めて完結するのではないだろうか」

ところでこの本の中で興味深い記述を見つけた
製糸の<繰り糸>という工程でミゴ箒が使われるのだ
湯の中に出た繭糸の端(緒糸)をミゴ箒で引っ掛けて取り出すらしい

2023年8月1日火曜日

『江戸に学ぶエコ生活術』アズビー・ブラウン


コロナ禍やウクライナへのロシアの侵略などの影響で物の流通が世界的に滞っています
食料やエネルギーだけでなく希少金属や水に至るまで自国で充足するのは困難な時代です
鎖国をしつつ人口を2.5倍にした江戸という時代が世界から注目されるのは当然でしょう

この本が書かれたのは2011年でもう出版から10年以上経過しています
それでもなお売れ続けています
それはこの本が長生きするだけの内容を含んでいるからにほかなりません

本の題名からはエコ生活のための色々なアイディアが書かれているのかなとの印象を持ちます
じっさいには現代生活に直接適用できる具体的方法はほとんど書かれていません
それなのになぜこの本は今も売れ続けているのでしょうか?

ブラウンさんはサステナブルな江戸の成功は人々の精神的態度にあったと言っています

「・・・何よりも大きかったのは、この国に広く浸透し、あらゆる改善を導く原動力となった人々の精神的態度である。それは自然のメカニズムと、自然の本質的な限界に対する理解に根ざしたもの・・・」

そしてその精神的態度をつぎのように表現しています

「謙虚さを尊び、浪費を嫌い、協力による解決を求め、一人ひとりが必要な分だけを手に入れ決してそれ以上を求めない」

この本の中にはこのような精神的態度が江戸の暮らしにどう表れていたか書かれています

ひとつの例として茅葺き屋根をあげています

「日本の茅葺き屋根は、その設計や構造、作業の手順という点で、江戸の村社会とその価値観の縮図といえる。材料はほとんどただで手に入り、労働は共同で行い、屋根葺きの作業のプロセスにはリサイクルによる資源循環が多くみられる」

わたしたちはこのような実例をまず理解して自分たちの生活を見つめなおすことが第一です
そうして初めて現代のエコ生活術を実践する素地が整うのです

このようにだいじなことを説いたのでこの本は今も巷間に流布しているのでしょうね

ブラウンさんはそのほかにも重要なことを指摘しています
サステナブルな江戸という時代のネガティブな面です
それは人権にかかわることです

ひとつは嬰児殺しです
食料が乏しい時代には家族が増えることは家族全員の飢えにつながりました
そこで養えない子は生まれてすぐに殺して家族の人数を抑制したのですね
それは犯罪ではなく仕方ないことだと当時の世間では思われていたのです

もうひとつは士農工商+という身分制の社会です
それぞれにサステナブルに生きてはいたものの階層の壁は乗り越えがたいものでした

これらのことは頭の中にいつも置いておきたいと思います

2023年7月22日土曜日

『街とその不確かな壁』 村上春樹


この本を読み終わってすぐにある思いが湧き上がってきました

それは自分の大切な人たちは夢半ばで人生を終えてしまったのではないかということ
そして自分は彼らの人生を踏み台にして自分の夢を実現したのではないかという思いです

あの人たちがどんな夢を持っていたのかそれは知りません
知らないのだけれどそれを実現することなく亡くなっていったような気がするのです

それと裏腹に(こんなことを言うのは不遜で誤解を招くことだと思いますが)
この自分は若い時に抱いた夢の多くをすでに叶えたように感じているのです
そして夢を叶えたという心地よさと同時に後味の悪い思いもこみあげてくるのです
今の自分は何人もの大切な人の犠牲の上に立っているのではないかと

このような気分を振り払うのは難しいことです
それはできないしまたそうする必要も無いのでしょう
きっと

2023年5月31日水曜日

海外自転車旅のロジ 出発前日

段ボール箱に入れる場合はこの状態で
❶受託手荷物
0) 航空会社が許容する大きさ・重量を調べる(エミレーツ 三辺合計300㎝、28㎏)

1) 逆さまにしてタイヤの空気を抜く

2) ペダルを外す 右は正ネジ、左は逆ネジ

3) タイヤ・フェンダーを外す

4) エンド金具を付け、変速機を段ボールで養生する

5) 元に戻しハンドルポストを抜き本体と平行にする

6) 輪行袋にフレーム、ついでタイヤを入れる

7) クッションとして軽いものを隙間に詰める

 寝袋、エアマット、衣類など

8) バンドでフレームと本体を縛る

9) ツールセットをガムテープで自転車に貼付け

10) ヘルスメーターで計量 制限重量に注意

11) 輪行袋(航空会社によっては段ボール箱)に入れる


❷機内持ち込み手荷物

0) 航空会社が許容する大きさ・重量を調べる(エミレーツ 55×38×20㎝、7㎏)

1) リアバッグ1つに他のバッグ3つを入れる

2) 荷物をできるだけ詰める

3) フタをする

4) ヘルスメーターで計量 制限重量に注意


手回り品

1) フロントバーバッグを手回り品とする 

2) 貴重品等を入れる 

3) ナイフ、液体ボトル、ライターは入れない

4) バッグのマグネットに時計やカードを接触させないよう注意!


2023年5月25日木曜日

海外自転車旅のロジ 出発1週間前

❶自転車と携行品の準備
<ウェア>
ポロシャツ(半袖)×2
パーカ(長袖)
サイクルパンツ(ショート)×2
ポケッタブルパーカ
レインパンツ 
ショーツ×2 

ソックス(5本指)×2

ポンチョ

サングラス 

SPDシューズ 

服袋

セーター

Tシャツ (ロング、ショート)

ショートパンツ 

パナマ 

ポロシャツ

ジーンズ

ワラーチ

<バイク>

フロントキャリア 

リアキャリア 

ポンプ 

輪行袋(エンド金具込み)

ミニツール 

パンク修理キット

ボルトナット

クリート予備

チューブ

潤滑油

作業手袋

ハンドルバーバッグ

フロントパニアバッグ×2

リアパニアバッグ×2

ワイヤーロック(ロング、ショート)

ヘッドライト

サイクルコンピュータ

サドルカバー

<日用品>

ポーチ

パスポート

財布(円と現地通貨込み)

カード(デビット、クレジット、出金制限)

免許証+キー+ETCカード

航空券

カメラ+アダプタ+バッテリ

ガラケ+アダプタ

トークマスター

コンセント(三又、ヨーロッパ用) 

ガイドブック

辞書

ペン 

医薬品

ポケティッシュ

石鹸

速乾タオル

カミソリ

洗濯ロープ+洗濯バサミ

レジ袋各種

ナップサック

<キャンプ用品>

テント

グランドシート 

寝袋

エアマット

アルミテーブル

折りたたみ椅子

ガスバーナヘッド

ウィンドスクリーン

クッカーセット

フォーク+スプーン+ナイフ

肥後守

チタンカップ

タッパーウェア

塩・胡椒・七味

ボトル


❷空港の駐車場を予約
旅行期間中に自分の車を空港駐車場に預けておく場合
成田空港 
アラジンレンタルガレージ
0476‐33-0600 成田市取香530‐25

2023年5月23日火曜日

『工藝の道』 柳 宗悦

わたしは藁竹茅(わらたけかや)と称して手仕事の工房をひらいています

藁は藁細工
竹は竹細工
そして茅は茅葺きです

それぞれ使う材料は自分で調達します

隣の農家からいただいた藁で藁細工
河川敷に自生している竹で竹細工
空地に繁茂した茅で茅葺きをしています

そうやって手仕事を続けてきました
そうしているうちに手仕事をひとつの基準で見るようになってきたと思います
美の標準のようなものが自分の中に形成されてきたといってもいいかもしれません

その標準についてもう少し具体的に言えば
美しい手仕事とは材料の見た目が素朴で力強く
道具として求められる機能が備わったものです

そのように感じられるものが作りたい手仕事でした

手仕事を専らとすることに決めた8年前にこの本を読みました

「・・・作家は彼の工藝を民衆的作品の位置まで高めねばならぬ。美を私する作家として止まるなら、彼は彼の作がまだいかに低きかを覚らねばならぬ。工藝が民衆に結ばれる時ほどその美が深まる時はないのであるから。そうしてあの平凡な民衆の誰でもが、卓越した作品を平易に作る時ほど、偉大な時代はないのであるから。真に工藝時代の現出なくして美の社会はない。」(P.77)

卓越した手仕事ができる平凡な人になりたい

2023年5月17日水曜日

差し茅 十二日目

助っ人さんのおかげで今年の作業はスムーズに終了しました

一入亭の茅葺き修理(差し茅)2023年春
<箇所> 主屋正面右半分
<面積> 20㎡ (残り修理面積=231-140=91㎡)
<期間> 4月26日~5月17日(実際の作業日数12日)
<作業> 茅拵え  3日
     足場建て 1日
     差茅   5.5日
     刈込み  0日
     足場撤去 0.5日
     片付け  0.5日
     合計   10.5日(1日の実働は6時間)
<道具> 梯子(大、中、小)、足場丸太(三間15本、二間6本)、足場板、シノー
     鎌(大、小)、ヘラ、ガンギ(短)、茅ブランコ、差し茅定規、ウマ 2台
     竹箒、ヘッジトリマ―、シート
<材料> 差し茅 98束(二尋の荒縄で二重にしばった太さ)、箱番線 30本
     荒縄二尋 100本、ポリエチレン紐(太さ8㎜と6㎜)
<考察> 出来は「上」
     天候に恵まれたのと最終2日間は助っ人を得たので作業が順調に進みました
     例年ほんの申し訳程度に屋根バサミで刈り込みをしていました
     やっても意味がないように思ったので今年はやりませんでした
     これで様子を見てみます


2023年5月16日火曜日

差し茅 十一日目

今日で差す茅がなくなります
ということは上手く棟まで差さなければいけません

まず普通サイズの茅を17束差しました
そのあと足場丸太の最上段7段目にのって半分に切った茅を10束差して午前中で終了です

午後は屋根の足場丸太を外し足場を解体しました
丸太の片付けは全部は終わりませんでしたが17時で作業終了です




2023年5月15日月曜日

差し茅 十日目

助っ人と昼に着きました
午後から作業を始めあっという間に15束差して終えました

2023年5月10日水曜日

差し茅 九日目

今日も午前中は茅を差して午後から茅場へ行って茅拵えです
拵えた萱生をこうして車に積んで運びます

今年は全部で98束の茅が取れました
1束は茅が約300本です
茅を長さ90㎝で切って2束にします
なのでこの茅場からはおよそ1万5千本の茅が取れます




2023年5月9日火曜日

差し茅 八日目

屋根仕事は雨の日はできません
昨日はとてもよく降りました
シートをはがして差し茅をします
古い藁を押さえてあったPPひもを切り取って茅をユルユルにしてから差します

午前中に足代丸太をかけたりしているうちに時間は過ぎました
ようやく8束差して午前中は終了です
午後は茅場へ行って茅揃えをしました
雨に濡れた茅は乾かしてから束にします


2023年5月3日水曜日

差し茅 七日目

今日は朝から晴れました
快調に茅を差し足場丸太を二段設置しました
昔からブキミソウと呼んでいるコブラみたいな草がたくさん生えてきました
そこから見ると屋根はこんな感じです
今週はこれで終わりなのでブルーシートで屋根を覆いました

2023年5月2日火曜日

差し茅 六日目

昨夜は激しい雷雨でした
茅が濡れているのでそれが乾く昼すぎまで差し茅はできません
差し茅を18束しました
雨が降っても茅が濡れないようにシートを掛けました

2023年5月1日月曜日

差し茅 五日目

午後から茅の引き出しをしました
足場に立って手が届く高さまでの古茅を引き出します
そのあと右隅に茅を6束差しました

2023年4月30日日曜日

差し茅 四日目

前回足場建ての途中で雨が降り出しました
今日はその続きをやりました
庭の水仙


2023年4月26日水曜日

『神経症的な美しさ』 モリス・バーマン

この本の良いところ
これまでの考えが整理できてこれからの指針になる
論拠になる本がたくさん示されている
それらをピックアップしてみます

「彼らは荒野をつくり、それを進歩と呼んだ」アグリコラ30節を踏まえて
彼らとは誰だろう
彼らとは例えばスマホの新製品を開発・販売して金儲けし得意になっている人たち
その製品によって人々の暮らしは一見楽になったり便利になったりした
それによってわたしたちの生活は進歩したのでしょうか
実は人々の暮らしは修復不可能なほど変質してしまったのです

『資本主義に万歳二唱』アーヴィング・クリストル
資本主義には万歳を三唱するほどの価値はないということ
なぜか?
資本主義は物質生活を向上させ個人の自由を増大させた
これで二唱
一方で資本主義は「心理的な重荷」を個人と社会秩序に押しつけもした
なので万歳は二唱までということです

日本人の精神危機の二側面
・「実存に関わる人間的欲求」を大いに満たしていた生活様式の抑圧と転倒があった
・近代への移行がたった一世代のうちに、いわば激烈シャク烈のうちになされた

『言の葉の樹』アーシュラ・ル=グウィン
ル=グウィンが行なう描写は、1853年と1945年のアメリカによる「侵略」直後の日本と奇妙な響き合いを見せているようにも思える。

『工藝の道』柳宗悦
民藝の美は個人ではなく社会にある、と柳は続ける。西洋の掲げる資本主義はこの美を破壊してしまう、なぜならば、その目的は貪欲に基づく利益の追求だからである。資本主義は人を競争の海の中に投げ込み、心を犠牲にする。

現代日本の生活における禅と工芸の本質的な役割
・日常生活における美と官能性の存在。美意識の高さ
・配慮、注意深さ、几帳面さ
・価値観や習慣における過去との連続性。
 さらに伝統工芸の現代的デザインへのつくり変え
 これを「古きものの(アルカイック)モダニズム」と名づけよう

益子でとても有名な一家の方が言ったこと
「問題は、過去を今意味のあるものにすることができるのかということです」
「益子を新しく引っ張っていく人が必要なんです」

『日本文化における時間と空間』加藤周一
ユダヤ・キリスト教的な前進する時間は日本人には意味をなさない
日本人にとって時間とは、継起していく現在、今に他ならない
過去の事件の全体が現在の意味を決定するのではなく、また現在が特定の未来へと向かって流れているのでもない
それぞれが今の時間軸における現実の中心であり、物事が把握されるのは今においてのみなのである

「同時に野蛮の記録ではないような文明の記録は存在しない」ヴァルター・ベンヤミン
禅や工芸、永遠の現在といったものはつねに歴史の文脈のなかに姿を現わす
また、歴史の文脈によってかたちづくられ、影響される
そこでより大きな構図を見る必要が出てくる
そこでは必然的により暗鬱な主題が含まれてくる
すなわち禅の伝統の「可塑性」あるいは道徳観念の欠如の作用

『おくりびと』『次郎は鮨の夢を見る』
日本では尊敬すべき理想として職人が生きながらえている     

『「甘え」の構造』土居健郎
日本人の生活の決定的特徴は甘えにある
甘えとは、周りの人に好かれて依存できるようにしたいという、日本人特有の感情(ウィキ)

日本人の過去へのノスタルジーの強さ
先進国へと発展する過程でおそらく最も傷をおった国であり
その進展の速度がすさまじかったために、もっとも神経症的である

『お役所の掟』宮本政於
日本の順応主義の本質とその代償とをドラマティックに描き出した

堺屋太一が言う日本における美徳とは
内容のいかんを問わず、支配的な体制が「良し」とするもの、つまり多数派が正しいと認めるもののこと

『容赦なき戦争』ジョン・ダワー
人種が太平洋戦争の重要な要因であったことに関して最も説得力のある主張をしている

マーシャル・マクルーハンの指摘
もし魚に自分の環境の最もはっきりした特徴は何かと尋ねたならば、その魚が話すことができたとして、最もありえないのは「水」という答えだろう
我々の世界観、無意識のプログラムというのは、この「水」であり、みながその中で泳いでいるのである

朝日新聞1951年4月12日付社説
マッカーサーが日本を離れる時、マッカーサーが日本人に民主義の良さを教えてくれたと(皮肉抜きで)称賛している

『アメリカはなぜ失敗したのか』モリス・バーマン
今日のアメリカ帝国は崩壊している

『ニヒリズム』グラハム・パークス
東京のような近代都市では、誰しもが生存と気晴らしの欲求に突き動かされているため、すべての核心に関わる問題は表層からそれほど遠くないところにある。

『名人』川端康成
第二次大戦の日本の敗戦、より大きな意味では効率を優先する科学的世界に対する伝統的・直観的世界の敗北のアレゴリーを提示した

ニューヨーク・タイムズにおける加藤典洋の二つの提案
・日本の若者は終わりなき成長という夢を諦め始めており、「ある種の成熟」へと近づきつつある(2010年)
・日本がポスト成長時代に足を踏み入れたかもしれないという感覚の緩やかな出現(2013年)

日本とアメリカのちがい
日本には拠り所となる一貫した伝統があるということだ。米国にはそれがない。

仏教経済
江戸時代の日本は、物品も原材料も限られていたため、リサイクルせざるを得なかったのだ

『Everyday things in premodern Japan』Susan Hanley
江戸時代の思想(イデオロギー)は、長期的視野で見た資源の最適利用であって、短期的に見た資源の最大利用ではなかった
そうしてできたのが、ある特殊な豊かさ、手元にあるモノを最大限利用することで生まれる「耐乏のなかの贅沢」であった
美と贅沢は、豊かさのなかにではなく、簡素であることのうちに、洗練されたデザインのうちに見いだされる
「質実や質素という観点から贅沢を定義することで」「より多くの人々が高水準の身体的健康を得ることができるようになった」
江戸時代の日本は究極の「より少ないものこそより豊か(レス イズ モア)」文化だったのである

差し茅 三日目

足場建てに取り掛かりました
半日ほどで建てられるので雨が降り出す前に終わればいいのですが

今年の差し茅は去年やったところの右隣です
足場の幅は四間で例年の三間と比べると広い
梯子に乗って丸太を組んでいる途中で柱が傾き梯子ごと転倒しそうになりました
梯子が倒れかかったところでとっさに飛び降りて無事でした
やれやれ

その後は順調にすすみもう少しで終わるというところで雨が降ってきました
焦らずまた今度やることにして今日はここまでです
左側半分が昨年差し茅したところです


2023年4月25日火曜日

差し茅 二日目

今日は昨日集めておいた茅を束ねて切ります

まず茅を適当な本数にして荒縄で束ね易いように揃えます
適当な本数かどうかは茅を束ねたときに分かります
根元はひどく飛び出したり引っ込んだりしないようにします

荒縄は太さ二分くらいの少し細めの縄を一尋に切って使います
根元から40㎝の位置でまず巻き結びしてさらに片蝶結びします
結んだあと縄が沢山残るようであれば茅の本数が少なすぎで残らなければ逆に多すぎです

茅束を立てて地面に二、三度強く叩きつけて改めて根元を揃えます

茅束をウマの上に載せて先ほど結んだ位置からさらに80㎝上のところで同じように結びます
茅束をトリマーで切断します
電源は車から取ります
切断する位置は根元から80㎝と160㎝の位置です
ウマの下に特製の定規を置いてそれを目印に切ります
トリマーは切断力が強いのでケガをしないように特に注意して扱わなければなりません
通常の茅のサイズであれば一束を二か所切って二束にします

今日この茅拵えを7時間やって差し茅が72束できました

茅場の奥で40束
中央で40束
手前で20束

2023年4月24日月曜日

差し茅 一日目

今年も一入亭の差し茅をする季節になりました
一入亭の朝
この冬は小雪で雪解けが早かった
アメダスの小出では3月26日に積雪が0㎝になっています
通常それから2週間後に一入亭の雪が消えます
なので今から2週間前に雪は消えていたはずです

茅場の雪も早く解けたようです
茅がずいぶん乾いています
茅場の脇の桜がまだ咲いています
去年の12月に茅を刈り倒し一冬そのままにしておきました
こうしておくと春に茅を集める際に葉を簡単に落とすことができるのです

きょうはまず茅をせっせと集めました
一日かけて全体の三分の二くらいを集めました
茅を集めて束ねやすいようにしておきます

2023年4月4日火曜日

『教養としてのラテン語の授業』ハン・ドンイル

言語が、ほかの学問のように分析的な学習で学ぶというよりも、たゆまぬ習慣を通して身につけていく性質を持っている

学問とは、知るだけにとどまらず、その知の窓から人間と人生を見つめ、よりよい観点と代案を提示するもの

本来の長所であったものが短所になった時点で、思い切って手放すことが大事なのかもしれません

こうした修道者たちが身に着けている「habitus(修道衣)」から、毎日同じ時間に同じことをするという意味で「習慣」が派生したのです

人生は、自己実現のためだけに邁進するのではなく、他者を思うことでさらに完成されるのかもしれません

ただひたすら自分自身を振り返り、「そもそも原因は私の態度だったのではないか」と思うようになりました

「自分の望みはこれだ」と信じて突き進み、それを成し遂げた後でこそ、自分の本当の望みはもっと別のものだったとわかる

人々が明日のために今日を我慢するのと同じくらい、過去にも縛られている

あなたはわが道を進めばいいだけです。大切なのは、「昨日の自分よりも成長すること」

重要なのは、知識があればそれだけ世界を見る解像度が上がり、物事が良く見えるようになる

私たちはもしかしたら、実際の金の価値よりも、仮想の数字に心をとらわれながら生きているのかもしれません

学んだことを血肉にするために重要なことは、何事であれ集中すること、すなわち精神統一が最も良い方法である

傷つくことによって、自分の弱さや短所に気づかされ、自分自身をさらに深く知ることができる

私たちが経験し、受け入れなければならない感情にも、毎日の限界値がある


 

2023年3月20日月曜日

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン

いまだにガラケーを使っています
日常不便に感じることはありません
ガラケーの電話、メール、目覚まし時計の機能があれば十分です

それでも昨年3年ぶりに海外に出かけたときはスマホがあったほうがいいなと思いました
いろいろなサービスがインターネットを介して行われるケースが多かったからです
インターネットを使わないでサービスを受けようとするととても不便なのでした

PCは持っていますが海外へ行くときは邪魔なので持って行きません
PCが無くてもスマホがあればインターネットが使えます
なのでいよいよガラケーはやめてスマホに換えることにしました

ところがスマホはその弊害が気になります
わたしの身の回りにスマホに依存した生活をしている人を何人か見かけます
そのライフスタイルを見るにつけあのようにはなりたくないと思っていました
スマホ依存はカロリーやアルコールなどの過剰摂取と同様の悪影響があるのは明らかです

なぜそんなことになってしまうのでしょうか
つまりは人間の脳がデジタル社会に適応していないからというのがハンセンの見立てです
わたしたちを取り巻く環境と人間の進化の結果がミスマッチしているのです
そのためわたしたちの心に悪影響がおよんでいるのです

人間の歴史を見るとこのことがはっきりします
これまで人間はその出現から今まで99.9%の時間を狩猟と採取をして暮らしてきました
なので人間の脳は今でも狩猟採集時代の生活様式に最適化されています

狩猟採集時代の生活様式とはどのようなものだったのでしょうか
・50~150人程度の集団で暮らしていた
・常に移動し、住居も簡素だった
・生涯出会う人間の数は200人、多くて1,000人程度
・出会う相手はだいたい自分と自分と同じような外見だった
・全人口の半数は10歳を迎えずに亡くなった
・平均寿命は30歳足らずだった
・一般的な死因は飢餓、干ばつ、伝染病、出血多量、誰かに殺されること
・人口の10~15%は他の人間に殺された
・生き延びるために周囲の危険を常に確認していなければいけなかった
・積極的に身体を動かして食べ物を探さなければ、餓死する可能性があった

そのため人間には睡眠と運動が必要でありお互いへの強い欲求が備わっています
なのでこれらの三要素が減ると人間の精神は不調を来すことになります
現代生活の快適化は往々にしてこれらの三要素が十分に満たされない方向に進んでいます
そして心を病んだ人が世界中で大量に生じることになったのです

スマホをはじめとするテクノロジーに順応しようとすればするほど心に不調を来します
それはテクノロジーが人間の真の幸福を目的にデザインされていないためです
そのことを理解せずにスマホを使っていればそれに依存するようになります

それでガラケーからスマホにする前にスマホ依存の予防策を知っておこうと思いました
つまりデジタルデトックスの具体的な方法を考えようとしたのでした
そして読んだのがこの本です

この本にはスマホを過剰に利用するとなぜ危険なのかがわかりやすく説明されています
そのほかにも
「人間の身体と脳を形成してきた唯一の基本ルールは生き延びて、遺伝子を残すことです」
「ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人間の歴史の中で、負の感情は脅威に結びつくことが多かった」
「進化は良いものでも悪いものでもなく、私たちに意地悪するわけでも、都合のいいことをしてくれるわけでもない。地球上の生物はそれを基本条件として、今いる環境に適応していく」
「ストレスは脅威そのものに対する反応だが、不安は脅威になりえるものに対して起こる」
「もともとは生き残り戦略だったはずの脳のメカニズムのせいで、人間はデジタルのごほうびに次々と飛びつく」
「知能の処理能力には著しく限定された領域がひとつある。それは集中だ」
「テクノロジーのほうが私たちに対応するべきであって、その逆ではないはずだ」
「手書きの場合はいったん情報を処理する必要があり、内容を吸収しやすくなる」
「SNSは表面的には、人間のソーシャルコンタクトへの本質的な欲求を満たしてくれる貴重な場である。しかし、心の健康を増進するどころか悪化させることを調査結果が示唆している」
「社交生活の代わりにSNSを利用する人たちは、精神状態を悪くする」
「基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させる」
「運動やトレーニングをすることで、不安から身を守ることができる」
「いちばんいいのは、週に3回、45分、心拍数がすこし上がるような運動をするのがいい」
「元気でいるコツは、睡眠を優先し、身体をよく動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分をさらし、スマホの利用を抑えること」
などなどいいことがたくさん書いてあります

そして肝心のデジタル時代のアドバイスとは
・自分のスマホの利用時間を知ろう
・目覚まし時計と腕時計を買おう
・毎日1~2時間スマホをオフにしよう
・プッシュ通知もすべてオフにしよう
・スマホの表示をモノクロにしよう
・運転中はサイレントモードにしよう
・集中力が必要な時はスマホを隣の部屋に置いておこう
・チャットやメールをチェックする時間を決めよう
・人に会っている時はマナーモードにして少し遠ざけておき相手に集中しよう
・寝るときはスマホの電源を切ろう
・スマホを寝室に置かない
・どうしてもスマホを寝室に置くなら着信音を消してマナーモードにしよう
・寝る直前に仕事のメールを開かない
・ストレスの兆候を見逃さないようにしよう
・どんな運動も脳に良いので運動しよう
・最大限にストレスレベルを下げ、集中力を高めたければ週に3回45分、できれば息が切れて汗もかくまで運動するといい
・SNSは積極的に交流したいと思う人だけをフォローしよう
・SNSは交流の道具と考えよう
・スマホからSNSをアンインストールしてPCだけで使おう

2023年1月14日土曜日

『縄文の奇跡!東名遺跡』 佐賀市教育委員会

一年ほど前に藁細工の友人から福島県立博物館で藁人形の展示会をやっていると聞きました
それを見に行きました
藁人形とは別に展示されていた福島県の藁細工に惹かれました
とりわけ縄文ポシェットのような砥石袋が素敵でした
帰りがけに売店で「樹と竹」という過去に開催された展示会のパンフレットを買いました
家に帰ってそれを見ていたところ遺跡から発掘された六つ目編みの籠が目に留まりました
「日本最古の編み物」とあり佐賀県東名(ひがしみょう)遺跡で発掘されたものでした
それは8,000年前の縄文時代のものでした
その頃すでに六つ目編みをはじめとする編組の技法が確立していたことが分かりました
じつは部分的な籠は1万200年前のものが滋賀県粟津湖底遺跡から発見されています
東名遺跡からは完全な形をした籠が数百個見つかったのでした

ウィキペディアで調べたところ縄文の編組製品について書いた本があることを知りました
『ここまでわかった!縄文人の植物利用』(工藤雄一郎ほか編)という本です
写真、図版、イラストをふんだんに使って植物に関する縄文人の知恵と技術を伝えています
その三年後に『さらにわかった!縄文人の植物利用』(同)という本が出ました
発掘されたものを研究したことによって発見されたことが分かりやすく説明されています

これらの本で書かれたことも含めてこの本で東名遺跡全体について知ることができます

竹細工の魅力を若い方々にお伝えしたいとわたしは日ごろ思っています
お伝えしたいのはその技法だけでなく日本の手仕事としての竹細工です
この本は竹細工の源を辿るうえで欠かせない知識を提供してくれます

それにしても具体的には何が「縄文の奇跡!」なのでしょうか?
それは次のように稀有な条件がいくつも重なって完全な形の籠が現代まで遺ったことです

縄文海進(約16,000前~7,000年前)の終わる頃に定住集落が形成された
奇跡1 縄文海進の変動によって集落は水没し透水性の低い5mの粘土層でおおわれた
奇跡2 集落のあった場所は地下水位が高く有機物が分解しにくい還元状態が保たれた
奇跡3 貝塚に堆積した貝殻から地下水に炭酸カルシウムが溶け出し酸性土壌を中和した

東名遺跡にはまだ発掘調査されていない貝塚がたくさん残っています
なのでこれからも新しい発見が期待できます