食料やエネルギーだけでなく希少金属や水に至るまで自国で充足するのは困難な時代です
鎖国をしつつ人口を2.5倍にした江戸という時代が世界から注目されるのは当然でしょう
この本が書かれたのは2011年でもう出版から10年以上経過しています
それでもなお売れ続けています
それはこの本が長生きするだけの内容を含んでいるからにほかなりません
本の題名からはエコ生活のための色々なアイディアが書かれているのかなとの印象を持ちます
じっさいには現代生活に直接適用できる具体的方法はほとんど書かれていません
それなのになぜこの本は今も売れ続けているのでしょうか?
ブラウンさんはサステナブルな江戸の成功は人々の精神的態度にあったと言っています
「・・・何よりも大きかったのは、この国に広く浸透し、あらゆる改善を導く原動力となった人々の精神的態度である。それは自然のメカニズムと、自然の本質的な限界に対する理解に根ざしたもの・・・」
そしてその精神的態度をつぎのように表現しています
「謙虚さを尊び、浪費を嫌い、協力による解決を求め、一人ひとりが必要な分だけを手に入れ決してそれ以上を求めない」
この本の中にはこのような精神的態度が江戸の暮らしにどう表れていたか書かれています
ひとつの例として茅葺き屋根をあげています
「日本の茅葺き屋根は、その設計や構造、作業の手順という点で、江戸の村社会とその価値観の縮図といえる。材料はほとんどただで手に入り、労働は共同で行い、屋根葺きの作業のプロセスにはリサイクルによる資源循環が多くみられる」
わたしたちはこのような実例をまず理解して自分たちの生活を見つめなおすことが第一です
そうして初めて現代のエコ生活術を実践する素地が整うのです
このようにだいじなことを説いたのでこの本は今も巷間に流布しているのでしょうね
ブラウンさんはそのほかにも重要なことを指摘しています
サステナブルな江戸という時代のネガティブな面です
それは人権にかかわることです
ひとつは嬰児殺しです
食料が乏しい時代には家族が増えることは家族全員の飢えにつながりました
そこで養えない子は生まれてすぐに殺して家族の人数を抑制したのですね
それは犯罪ではなく仕方ないことだと当時の世間では思われていたのです
もうひとつは士農工商+という身分制の社会です
それぞれにサステナブルに生きてはいたものの階層の壁は乗り越えがたいものでした
これらのことは頭の中にいつも置いておきたいと思います
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