2023年1月14日土曜日

『縄文の奇跡!東名遺跡』 佐賀市教育委員会

一年ほど前に藁細工の友人から福島県立博物館で藁人形の展示会をやっていると聞きました
それを見に行きました
藁人形とは別に展示されていた福島県の藁細工に惹かれました
とりわけ縄文ポシェットのような砥石袋が素敵でした
帰りがけに売店で「樹と竹」という過去に開催された展示会のパンフレットを買いました
家に帰ってそれを見ていたところ遺跡から発掘された六つ目編みの籠が目に留まりました
「日本最古の編み物」とあり佐賀県東名(ひがしみょう)遺跡で発掘されたものでした
それは8,000年前の縄文時代のものでした
その頃すでに六つ目編みをはじめとする編組の技法が確立していたことが分かりました
じつは部分的な籠は1万200年前のものが滋賀県粟津湖底遺跡から発見されています
東名遺跡からは完全な形をした籠が数百個見つかったのでした

ウィキペディアで調べたところ縄文の編組製品について書いた本があることを知りました
『ここまでわかった!縄文人の植物利用』(工藤雄一郎ほか編)という本です
写真、図版、イラストをふんだんに使って植物に関する縄文人の知恵と技術を伝えています
その三年後に『さらにわかった!縄文人の植物利用』(同)という本が出ました
発掘されたものを研究したことによって発見されたことが分かりやすく説明されています

これらの本で書かれたことも含めてこの本で東名遺跡全体について知ることができます

竹細工の魅力を若い方々にお伝えしたいとわたしは日ごろ思っています
お伝えしたいのはその技法だけでなく日本の手仕事としての竹細工です
この本は竹細工の源を辿るうえで欠かせない知識を提供してくれます

それにしても具体的には何が「縄文の奇跡!」なのでしょうか?
それは次のように稀有な条件がいくつも重なって完全な形の籠が現代まで遺ったことです

縄文海進(約16,000前~7,000年前)の終わる頃に定住集落が形成された
奇跡1 縄文海進の変動によって集落は水没し透水性の低い5mの粘土層でおおわれた
奇跡2 集落のあった場所は地下水位が高く有機物が分解しにくい還元状態が保たれた
奇跡3 貝塚に堆積した貝殻から地下水に炭酸カルシウムが溶け出し酸性土壌を中和した

東名遺跡にはまだ発掘調査されていない貝塚がたくさん残っています
なのでこれからも新しい発見が期待できます


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