2020年9月5日土曜日
『猫を棄てる』 村上春樹
ブログを書くときにこころがけていることがいくつかあります
第一に、シンプルな短文、長くても一行、40字程度を越えないで表現することです
短文のほうが読みやすいし、書きやすいからです
それと、翻訳アプリにかけたときに短文の方が正確に翻訳されるようだからです
第二に、句点はいつも、読点はできるかぎり、使わないことにしています
一行以内に一文を収め、一文ごと改行しますので句点は必要ありません
俳句や短歌に句点がついていないのと同じことです
読点は、意味の取り違えを防いだり、読みやすくするために最低限使います
第三に、「しかし」や「いずれにせよ」などは、あまり使わないようにしています
「しかし」などの接続詞は、論旨を急転換するための、いわば急ハンドルのことばです
これが頻繁に登場すると、読み手はあっちを向かされこっちを向かされ、たいへんです
「いずれにせよ」などの副詞は、話を切り上げることばです
これが出てくると、読み手は急ブレーキを踏まれたようなショックを感じます
この本を読んで、ちょっと気になったことをメモしておきます
この作品は単行本サイズに換算したらわずか40ページほどです
(高妍さんのすてきなイラストのページは含めず、文章だけで)
そこに、上の第三の「急ブレーキ」ことばが頻出するのが気になりました
何回登場するか、ざっと数えてみました
「いずれにせよ(「いずれにしても」1回を含む)」が6回出てきました
「とにかく(「ともあれ」1回を含む)」が3回です
話を早く切り上げたいのか、何か落ち着かない感じが伝わってきました
この人の作品をたくさん読んできて、こういう印象を持ったことはありませんでした
だいたいはじっくりと話を進めていく人ですよね
彼はいつか自分の父について書かねばならないと思ってきたようです
そうしてようやく父と一緒に猫を棄てた話から書きはじめました
すると思っていたよりも筆が進んだということです
それでも長々書くのは気が進まなかったのでしょうか
はしなくもこのようにして「急ブレーキ」ことばが頻出してしまいました
父親について語るとき、彼も人の子になるのかという印象です
そんな彼の気持ちが分からないことはありません
というか、むしろよく分かるような気がします
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