2019年8月7日水曜日

『人類史の中の定住革命』 西田正規


人類は今から1万年ほど前の新石器時代から一か所に定住する生活を始めました
新石器時代は日本では縄文時代の中頃にあたります

それまで人は暮らしやすい環境を求めてあちこちへと移動する生活をずっと続けていました
暮らしやすいとは食料や水がふんだんにあり、ゴミや排泄物で汚れていないということです
初期の人類が出現した400万年前からそういう場所を求めて移動しながら生きてきたのです
このような生活スタイルを遊動生活といいます

遊動生活とは実際にはどのようなものだったのでしょうか

人は空腹になると獲物をとり、ゴミはその辺に投げ捨て、排せつも所かまわずしていました
そのため一か所にとどまっているとそこに獲物は少なくなり、辺りは汚くなりました
そこで獲物が豊富で清潔な水のあるところを求めて移動していきました
移動のときには生活に必要な最低限のものしか携えていなかったはずです
夜を安全に過ごすためにさまざまな注意を払います
病気になったときは薬草を使ってなおしました

もちろんすべてが完璧にはいかなかったと思います
それでも徐々に遊動生活に必要な知識を蓄え、持てる能力を駆使して暮らしていたでしょう
その生活は厳しくも充実したものだったに違いありません
でなければ幾度もの氷河期を乗り越えて生き続けられなかったはずだからです

その遊動生活が今からおよそ1万年前の氷河期の終りとともに不可能になりました
地球が温暖化して主に食料としていた大型の獣が減少したためです
反面、農耕や漁撈が可能な土地が広がったことで定住生活の条件が整ってきました
400万年という人類の歴史からみれば定住生活が始まったのはついこの間のことなのです

定住生活を始めたことにより人類は革命的な進歩を遂げることになります

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