「竹 ものと人間の文化史」で、横井庄一さんの28年間の洞穴生活が取り上げられていました
横井さんが隅々まで竹を活用して生活をしていたことが賞賛されていました
その実態と共に、28年間のジャングル生活の厳しさについても知りたいと思いました
そこで数ある関連の本の中から、川越市立図書館にあったものを読みました
生活していた洞穴
午後二時少し前。竹ヤブが出現した。"ここだ。ここだ"長い長いジャングルの果て、場面が変わった。とっさに横井さんのいたところは、ここだとわかった。一瞬、ここは日本じゃないかと、錯覚させたのだ。太く薄緑色の竹が高く生い茂り、風でぶつかり合い、カラカラと音を立てる。
タロフォフォ川の支流の、また支流が小さく、ゆっくりと流れている。その小川に向かって傾斜した、おそらく一五〇平方メートルはある竹林。その中央に、十五年間、住みついた横井さんの穴があった。
洞穴の中と外
フトンがわりか、白くかわいた竹の皮がいっぱいに敷きつめられてある。一枚々々が大学ノートぐらいもある。十五年間のベッド。
燃料用のヤシの実が、何十個も積んである。ハシゴの反対側がトイレ。竹を三本組み合わせ、その下がクソツボ。すべてが、きちんと難理されつくされている。
息がつまりそうになり、階段をはい上がった。竹林の下を流れるちっぽけな小川は中途でせき止められ、ヘビがタマコをのんだような形にふくれている。ここで、一日に三、四回、水あびをしたのだ。
竹は直径五センチから十センチぐらい。どこか、京都の竹林にもぐり込んだような感じ。その行は十メートル以上もスルスルと空に伸び、ギラギラした太陽をおおっている。ジャングルの太陽も、ここではやわらか。薄茶色に枯れた細い竹が満に倒れ、かっこうの物干ザオのようにみえる。むし暑く、重苦しいジャングルと違い、ここだけは、ひんやりとした風さえくる。
もし、この暗ヤミにまったく孤独で、また、いつ殺されるかわからないという、ギリギリの恐怖を、少しでも救ったものがあったとすれば、この竹林ではなかったかー。
帰りに、穴をあとに十分も歩いて、別の小高い丘に登った。周囲を眺めると、なんと、丸木の原根のはるかむこうに米軍基地らしい白い壁。さらにペンキの鮮やかな給水塔と修道院。ーこんな江くに人間社会が・・・・・・。二十八年を思うと、あまりにも近すぎる。
手作り
繊維で作り上げた洋服。ズタみたいな〃ワンピース"じゃない。立派なエリの折り返しから、ステッチ、ポケット、ボタンまで、日本の洋服屋のオーダー・メイドそっくり。ロープは、デパートで売っているといってもおかしくない出来。竹を編んだ細は、魚や野ネズミ取り器だ。
洞穴生活が長くなってな、何もせんでいると気狂いになりそうでした。なんぞ作っとらにゃいかんと思うて作りました。あんな粗末なツメエリでも一着縫うのに三ヶ月も四ヵ月もかかりました
生活
お正月とは、どうしてわかったのですか。
「それはお月さんで」
「ヤシの実で煮たきした。洋服はゴクシの皮。日本時代にゴクシといっていた木の皮。修理しては修理しては着たんで、どのくらいかかって作ったのか、わからないです。三着です」
一針はどうしたんです。軍隊時代のですか。
「いや、ここにありますでしょう。真鍮をたたいて延ばして長くして、キリで穴をあけた」
一ロープ類は?
「これはヤシの皮で作った」
一何に使うんですか。
「これは火縄。火をつけ、火を保存するのに使う」
一火はなんでおこしたんですか。
「最初はレンズ。懐中電灯のレンズ・・・・・・。ヨシの中で火災を起こしたこともある。屋根に・がついてね、燃やしました。カヤでね、屋根を作って住んでいたとき。十五年の前にね」
一食事はいつ?
「朝と夜。昼間は、穴で作業。夕方に食料を集めて歩いた」
生活道具目録(四十四種類、八十三点)
パゴの繊維で作った手製洋服上下三着(うち上着一着とズポソニ本はグアム政府に贈る)
ココナツの実で作った容器 二個
鍋 二個
飯ごう 一個
やかん 一個
水筒で作ったフタ付き鍋 一個
水筒 一個
プラスチック製容器 一個
鉄製コテ 一個
鉄製ナイフ 一丁
鉄製包丁 ー丁
火おこし棒 一本
ココナツの実で作ったランプ 一個
はさみ ー丁
たがね 一個
スプーン 一本
鉄板 二枚
竹で作った針 七本
ゴム板 二枚
スプーンの先 一本
くぎ 四本
薬きょう 六個
鉄のフタ 一個
鉄製平鍋 一個
ココナツオイルのビン(割れている)一本
パゴの繊維で織った袋大小 二枚
同布きれ 三枚
ヤシの繊維で作ったわらじ 一足
パゴの繊維製長ズボン(バンド付) 一本
ヤシの繊維製ロープ 五巻
バゴの木 七片
ヤシの繊維(ロープの材料) 二かたまり
洞くつ内のくい 一本
樹皮 一枚
フェデリコの実 四個
フェデリコとヤシの繊維製袋 一個
魚取り竹かご(うち一個はグアムヘプレゼント) 三個
洞くつで使っていた紙 一枚
ふた付竹筒 一個
布つき竹筒 一個
手榴弾 一個
三八式小銃 一丁
木の皮製かご 一個
竹製かご 一個
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。