地橋さんはこの本で原始仏教の修行は五つの戒を守ることから始まると言っています
その五戒とは倫理的な行動規範でつぎの五つです
①不殺生戒(殺さない)
②不偸盗戒(盗まない)
③不邪淫戒(不倫をしない)
④不妄語戒(嘘をつかない)
⑤不飲酒戒(酒や麻薬など酩酊させるものを摂らない)
人を観るときこれら五つの戒をどの程度守っているかが一つの判断基準になります
世の人は五戒をどの程度守っているでしょうか?
おおよそつぎのようかと思われます
①と②については多くの人が守っている
③については守っていない人がけっこういる
④と⑤については③よりももっと多くの人が守っていない
それにしても「守っているか/守っていないか」という問いのたて方が疑問です
「白か/黒か」と尋ねているのですが実際には灰色の人がたくさんいると思うからです
それに灰色といっても大きな程度差があります
たとえば不殺生については殺すのが人なのか蚊なのかで意味合いは大きく異なります
飲酒についても飲む量が乾杯の一杯だけなのか前後不覚になるまでなのかで全く違います
ほかの戒についてもさまざまに大きな程度の差が考えられます
もっと丁寧な問いのたて方をしないと五戒で人を観ることは無理です
たとえばこのように考えたらどうでしょうか?
まず各戒がどの程度守られているか具体的に5段階に分けます
①不殺生戒 殺さない⇒殆ど殺さない⇒蚊を殺す⇒食用動物を殺す⇒人を殺す
②不偸盗戒 盗まない⇒殆ど盗まない⇒鉛筆を盗む⇒自動車を盗む⇒他国を盗む
③不邪淫戒 不倫しない⇒殆ど不倫しない⇒らしきことをする⇒稀に不倫する⇒不倫している
④不妄語戒 嘘をつかない⇒殆ど嘘つかない⇒稀に嘘をつく⇒些細な嘘をつく⇒大嘘をつく
⑤不飲酒戒 飲まない⇒殆ど飲まない⇒飲んでも乱れない⇒飲むと乱れる⇒アル中である
そして戒が完全に守られていれば0点を全く守られていなければ4点を付けます
グレーゾーンはその程度に応じて1点から3点を付けます
各戒について採点してその点数を合計します
このようにして自分自身や任意の他者の倫理的な行動の度合いを観るのです
いかがでしょうか?
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