2022年8月26日金曜日

『カタルーニャ語 小さなことば 僕の人生』 田澤 耕

奢らずに正直に感謝とユーモアをもって人生をこのように一冊の本とした例を他に知りません
人は(というか私は)得てして自分の人生を粉飾したり感動めかしたりしたくなるものです
そのことは第三者にすぐにはっきりと分かります
この本にはそのようなものが感じられませんでした

この人の人生にとってはカタルーニャ語との出会いが決定的だったと思います
その出会いを可能にしたのはこの人のそれまでの積み上げです

外国語とくに英語が好きだったこと
とにかく海外へ行きたいと思って職業を決めたこと
その職業が銀行員だったこと

そしてカタルーニャ語に出会った後はひたすらに駆け抜けて行ったのでした
カタルーニャ語を研究するだけでなくカタルーニャ文化の紹介までしました
その業績の広範で多量なことには驚かされます

この人の業績について比較できる人がいません
カタルーニャの言語と文化について彼のようなことをした人は他にいないからです
同じことは他の誰にもできなかったのです

カタルーニャ語とカタルーニャ文化について同じことをする意味はもうないでしょう
でもほかに対象はいくらでもあると思います

自分の興味が湧くものと出会い興味の赴くままに突き抜けて行くこと
そのような人生のほかにどのように善いものがあるのでしょうか?

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