2021年3月9日火曜日

『聞き書き 伝統建築の家 造る 住む 直す 職人の技』 原田紀子



読む本はたいてい家の近くの川越市立図書館で借りて読みます
先日そこへ本を返しに行った折りいつものように新刊書コーナーを眺めわたしました
するとこの本が目にとまったので借りてきました

たくさんの本を図書館で気軽に借りて読めるのはありがたいことです
借りた中にはどうしても読み進められなく途中で返却してしまう本があります
それでも懐が痛むことはありません
そうかと思うと自分のために書かれたのかと思うような本に出合うこともあります
そんな時は「図書館、ありがとう!」と心の中で叫びます

ーー

 家の基礎など下は法律(建築基準法)でとにかくしょうがないので、コンクリートをベタ打ちにして、布基礎立ち上げて、土台にアンカー入れるけど、上だけは、伝統工法でやりたいぞって、俺はずっと思ってきたわけ。
大工 星野 清信

 サラリーマンはいくら偉くなっても勤めているところから退いちゃうと何も残らないんじゃないでしょうか。大工は仕事をやめても物が残っている以上は、誰が造ったとか、どういうふうにやったんだとかが分かる。
大工 嶋澤 恭雄

 始めて半年から一年ぐらいのころやったと思う。東京からお遍路で回ってきた人が、自分の現場に来て、ふっと足場に乗って、「その紐、貸して」言うて、どんどん、どんどん、編み出した。手付きがすばらしゅうて、話しするうちにね、「兄さんに教えてやってもいい」言うた。
小舞 弘田 充

今ある茅葺き屋根は百年二百年と残っている実績のある建物なのに、それを残そうとするとどうしても文化財的な保存になりがちです。・・・それで普通の人が暮らして行けるような茅葺き屋根の家っていうのを提案していきたいんです。
茅葺き職人 松木 礼 

 旅行の前にはたいてい『日本の食生活全集』(農文協、全50巻)のその県の巻を読んで、伝統の食とか民俗的事象などいちおうの目標を持って出かける。
原田紀子

 職人は小千谷の手前、越後川口の和奈津という部落から来てくれていたんです。それが去年(2011年)棟梁(一入亭の茅屋根を葺いた喜多村 暁さん)がなくなって。その下に二人いらっしゃって引き続き来てくださるんですけども、なかなか二人ではやっていけないということで、どこかの組に入るそうです。
料理屋 南雲直子

 最近はとみに伝統建築の仕事がないと言う。なぜ日本人は自国のすばらしい文化を伝承しようとしないのだろうか。
原田紀子

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伝統建築の家を建てようとすると普通の家の少なくとも倍のお金がかかります
大多数の日本人にとってはそれは無理な話です

どれくらいの日本人が伝統建築に心から親しんだ経験を持っているでしょうか
伝統建築の家に住んだり逗留したりした経験ない人が増えています
そのような経験なしに伝統建築の家を建てたいとは思わないでしょう
経験のないことを伝承しろと言われてもそれはできませんよね

いまは伝統建築のほかにも魅力的な家はたくさんあると認める方が妥当でしょう
日本人に限らず、人は自分に訴求力のある家を選ぶのです
「なぜ日本人は・・・」より「どのようにしたら日本人は・・・」と前向きに考えます


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