2021年3月21日日曜日

『サピエンス全史 上』 ユヴァル・ノア・ハラリ

 
人類は発生から今日までどんな歴史をたどったのでしょうか?
そんなことはふだん考えもしません
たいてい日常の面倒なことや多少面白いことなどにかまけていて時間が過ぎます

ホモ(ヒト)属が進化して初めて道具を使いだしたのが250万年前
火が日常的に使われるようになったのが20万年前
永続的な定住生活をしながら植物を栽培化と動物の家畜化を始めたのが1万2千年前

定住する以前の数百万年間は人は移動しながら狩猟採集の生活をしていました
わたしたちヒトの本能はその長い狩猟採集生活のなかで形成されてきたのです

定住生活をはじめてからまだわずか1万年ほどしか経っていません
なので現代人のDNAは狩猟採集生活時代のままであり定住に適応できていないのです
ここに現代のヒトが抱える様々な問題の根本的な原因があります

定住を始めたヒトは移動生活をしていた時よりも楽になることを期待しました
ところが農業生産がどれだけ拡大しても労働時間は短くならず生活は豊かになりませんでした
農民が生み出した余剰生産物は常にエリート層に掠め取られてしまったからです
むしろ狩猟採集をしていた時代の方がヒトは幸せだったのです

ヒトは何百、何千世代にもわたる長い時間をかけて狩猟採集の生活を形作りました
さまざまな技術や知識を総動員して自給自足していく生活は充実したものでした
その頃のヒトは今よりも脳も身体も大きかったという証拠があります

このようなことを知ると今のヒトの生活はとても歪んだものなのだと気がつきます
自然と離れた生活をすればするほどその歪みは拡大していくと実感しています


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