2020年8月30日日曜日

ほんとうにあった怖くない話

人生というのはじつに意外性に満ちています
この凡庸なわたしにさえ、思いもかけないことがいくつも起きたのですから

これからお話しすることは(わたしの記憶の限りにおいて)ほんとうにあった話です
ちっとも怖くない(むしろ笑っちゃう?)ので安心して聞いてください

それはいまから50年以上まえのことでした
そんな昔のことですが、いまでも忘れられません
なぜというのも、それが自分の一身にかかわることだったからです

わたしは4人兄弟の次男で、兄、姉とわたしの3人は1学年違いの年子です
あと、わたしと6つ違いの弟がいます
子どもたちの誕生日には、親がお祝い(料理、ケーキ、プレゼント)をしてくれました

兄の誕生日は上皇后と同じ10月20日で、毎年つつがなくお祝いしました
姉は12月14日なので、お祝いはクリスマス・パーティーと一緒くたになっていました
年の瀬で親も忙しかったのでしょうが、これについて姉はいつも不平をいっていました
わたしの誕生日は2月13日で、弟は2月4日です
それで弟が生まれてからは、二人合わせてお祝いしてもらっていました

小学校に入学する前後ぐらいのときでした
親から(たしか母親だったと思う)とつぜんこういわれたのです
言いまわしはよく覚えていませんが、内容としてはこうです

「お前の誕生日はじつは2月13日ではなくて、2月14日だ」

同時に、姉の誕生日も12月14日から12月13日に訂正されました
要するに、姉とわたしの誕生日の日にちを、親が取り違えていたのです
そのとき親に対して、姉やわたしがどんな態度をとったのかは覚えていません

小さい時でしたから誕生日が1日変わったからといって、どうということもなかったでしょう
伝えなきゃいけない彼や彼女がいたわけでもありません
もちろん運転免許証なども持っていませんでした
誕生日はただ家族のあいだでだけ、たいせつなお祝いの日として意味があったのです
もしこれが例えば中学生のときだったら、ひと騒動になっていたかもしれません
じっさいがどうだったのかもう両親はいないので確かめようもありません

なんでこんな取り違えが起きたのか、想像するのは難しくありません

12月13日と2月14日には、1、2、3、4の4つの数字しか含まれていません
しかも13日と14日は1日違いです
日にちを混同しやすい条件がそろっているといえます
そんなこんなで、ある年に姉とわたしの誕生日の日にちが入れ替わってしまったのでしょう
ひょっとしたら二人とも13日あるいは14日でお祝いしていた年があったかもしれません
笑ってしまいます

こんなことが起こるほど3人の年子の子育てはたいへんだったのだなと思います
誕生日の1日や2日の取り違えくらい、それがなんですか?、の毎日だったのでしょう
きっと


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