この本で「草の根」とは第二次世界大戦前後の民衆、庶民あるは大衆と呼ばれる人々です
そのなかで軍人や軍属として戦争に関わった成年男子のことが取り上げられています
これらの人々の職業は多く農民、中小企業労働者、職工など社会の底辺を支える仕事です
戦争を通じて彼らの社会意識や行動がどのよう変わったかをこの本は克明に描いています
もとになったのは日記や回想記あるいは筆者に宛てた手紙などすべて一次資料です
彼らの意識や行動は戦前・戦中・戦後を通じて大きく変化しました
行動の規範が「戦争の大義」から「自己の保身」へと塗り替えられたのです
戦前はまだ社会に大正デモクラシーの余韻が残っていました
戦争が始まると兵士は大東亜共栄圏の確立や八紘一宇という御旗のもとに故郷を離れました
兵器や食料・衣服などが欠乏する中で戦ううちに虐殺や略奪が日常化していきました
兵士は聖戦の名のもとにそれらを意識の下に押し込めようとしました
そして返す刀でアジアの人々を蔑視し優越的な意識を持ち続けました
悲しいかな人々の意識や行動はその置かれた状況によって大きく変化します
まぎれもなく自分もその人々の一人です
その自分がなんとか道を踏み外さないようこうしてブログを書いています
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