2024年8月21日水曜日

『デジタル・ミニマリスト』カル・ニューポート

本を読むきっかけはいくつかあります
きっかけとして多いのは、
・新聞の書評を読んで
・本や新聞の記事に言及があって
・図書館に陳列してあって
などです

ひとつふしぎなことがあります
本を読み終わる頃にはその本を読もうと思ったきっかけは大抵忘れているのです
この本もそうでした
ああ面白かった!と読み終わったのに

なんでこんなことにこだわるか分かりますか?
もっともっとたくさん面白い本を読みたいからです
どうしたら面白い本に確実に出合えるか知りたいからです


さてこの本のどこが面白かったのでしょうか?
それはカルの意見には共感するところが多々あったからです

カルはまず自分が人生で何をしたいのかはっきりさせようと言います
そうしなければデジタル・ミニマリストになるのは困難だからです
スマホの虜になってしまうのは他にやるべき大切なことがないからです

人が幸せに生きていくためには孤独の時間が必要です
スマホはその時間を奪ってしまう
その時間を奪い取るのはGAFAです


読んでいて嬉しいことが二つありました

一つは『ニコマコス倫理学』への言及です
わたしのブログのあらゆる投稿を注意深く読んでいる人(わたし以外にいないでしょうけど)
には明らかなようにわたしは『ニコマコス倫理学』の信奉者です

カルがニコマコス倫理学から引用した考えは次のようなものです

「善い人生には、その行為そのものから生まれる満足感以外に何の利益をもたらさないような活動が必要である」

これをカルは「質の高い余暇活動」と呼んでいます
そのような活動に勤しむためにはそれを可能にするだけの原資がなければなりません
それでほとんどの人はまず経済=収入を得ることに没頭します

そして幸運にもそのような原資を手にできたとして没頭する何かはあるのでしょうか?
その何かが無ければその人は「質の高い余暇活動」はできません
利益をもたらす活動に成功したとしてもその後に虚ろな人生が待っているでしょう


嬉しかったことのもう一つは「質の高い余暇活動」として手仕事を推奨していることです
スキルを活かし、物質的な世界で価値あるものを作り出す
デジタルのスクリーンを離れてリアルに何かを形作ること

これはふだんわたし自身が心がけているところです
手仕事に没頭するとスマホなどをいじろうという気が無くなります
得られる満足感がまったく違いますから
もっともわたしはいわゆるガラケーを使っていますからこの問題はありません

そのガラケーを支えている3Gというシステムが2026年で廃止になります
そのためガラケーは使えなくなるそうで迷惑な話です
わたしはガラケーで不便ありませんでしたから

でもカルの書いていることを読んで気が楽になりました
通話とテキスト・メッセージだけが利用できるガジェットを選べばいいだけのことですね
スマホもパソコンも自分の人生の目的に合った最低限の使い方をすればいいのです


0 件のコメント:

コメントを投稿