2022年12月14日水曜日

『反応しない練習』草薙龍瞬

2,500年ぐらい前に実在したというブッダという人は今も多くの人を救っています
その教えが実用的で合理的なので現代人にも効果があるからです
この本はその教えをわかりやすく解説した本です

どんな人の人生にも悩みや問題がつきものです
そのような苦しみがあることをまず認めるのが救われる道への第一歩です

その苦しみの源は求める心にあります
求める心とは生きている間ずっと「反応しつづけるエネルギー」です

求める心は7つの欲求に分かれています

生存欲(生きたい)
睡眠欲(眠りたい)
食欲(食べたい)
性欲(交わりたい)
怠惰欲(楽をしたい)
感楽欲(音やビジュアルなど感覚の快楽を味わいたい)
承認欲(認められたい)

これらの欲求に突き動かされて人は反応します
そして時には欲求を満たす喜びがまた時には満たされない不満が生まれます
それを繰り返しているのが人生です

ここで問題なのは不満という反応です

不満は三つの状態に分類でき三毒と呼ばれ人間の三大煩悩とされています

貪(とん):貪欲(過剰な欲求に駆られている状態)
瞋(じん):怒り(ストレスを感じイライラし機嫌が悪い状態)
癡(ち):妄想(想像したり考えたり思い出したりとボンヤリ何かを考えている状態)

人間が最も得意で大好きなのは妄想でナンバーワンの煩悩です

このような煩悩から自由で開放された境地が解脱です
ブッダの教えとは求める心を手放すことで煩悩から自由になる方法なのです
苦しみから解き放たれた状態はまた善とも表現されます

ブッダの教えのひとつに人生の大きな心がまえがあります
人間関係をまあるく治める慈・悲・喜・捨という四つの心がけです

慈:相手の幸せを願う心
悲:相手の苦しみ・悲しみをそのまま理解すること
喜:相手の楽しみ・喜びをそのまま理解すること
捨:手放す心、捨て置く心、反応しない心

草薙さんはそうして正しい生き方を心の土台にすえるよう勧めています

反応せず正しく理解すること
三毒などの悪い反応を浄化すること
慈・悲・喜・捨の心で向き合うこと

このようにして最高の納得が得られた境地は善とも意味が重なります


『断捨離で日々是ごきげんで生きる知恵』やましたひでこ

断捨離とはヨガのことばで やましたひでこ というひとが提唱し商標登録しています
そのことを最近知り彼女の書いた本を読んでみようと思いました
この本は断捨離という言葉が流行語になった2010年に出版されたものです

読んで参考になったのは断捨離の片付け術よりもむしろその処世術でした

幸福を日々実感したくて家と職場で過ごす時以外をほとんどを何か埋めている女性がいます
家族が協力的で子育てが終わっていれば家事の負担は少なく休みも取りやすい
自分の自由な時間を自分の楽しみで満たしても何も問題もないとは言えます

いつ終わるかもしれない人生だから今を楽しむのだと言います
これも当世的には否定できない生活態度かもしれません
何よりその人自身が日々を楽しんでいると言うのですからそれでいいようにも思えます

断捨離的に見ればここに何かがあるように思えます
楽しんでいることの多くが受け身のかたちだからです
人にもてなしてもらうタイプの楽しさなのです
自分で自分をもてなすようなタイプの楽しみではありません
楽しいと言う毎日はじつは誰かに楽しませてもらっていることが多いのです

断捨離の処世術から見てたいせつなのは

人に頼らずに自分で自分をもてなせる(楽しませる)ようになること

そういうことなのかなと思いました