2020年4月20日月曜日

『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン』 「認知行動療法」入門 中島美鈴


「同じ出来事を経験しても、自分とはまったくちがう反応をする人もいる」
自分の受け止め方は唯一の選択肢ではない
出来事とそれによって発生する感情との間には、私たちの物事の受け止め方、捉え方が介在しています
それが認知行動療法でいう「認知」です

「本人の受け止め方に問題はないのだろうか?」
うつ病患者は非常に偏った、悲観的な物事の受け止め方をする。
自動思考 例:俺はなにをやってもダメだ
信念(スキーマ):自分や他人、あるいは世の中といったものを解釈するときの基本的な枠組
 幼少期から思春期までの時期に、親をはじめとする身近な人との関係の中で身につけ
 その後の人生経験の中で強化されていくと考えられている
信念は誰しもが持っているもの、持っていなければならないもの
信念があまりに悲観的な方に偏っていると生きるのがとてもつらくなる
日常生活のあらゆる場面でネガティブな自動思考が起こり、必要以上に傷ついたり、落ち込んだりする

「たったそれだけの情報から、そこまで言える?」
色メガネをかけて世界を見れば、無色透明なものにも色がついてしまいます

中核信念:心の奥底に横たわっているもので、普段はなかなか意識されない
  自分は人より劣っている
  自分には価値がない
  自分は人からは好かれない
  他人は冷たいものだ
  世の中は不公平なものだ
媒介信念:いつの間にか自分に課しているルール、あるいは信条のようなもの
  価値がある人間であるためには、完璧でなければならない
  好かれるためには、人の機嫌を損ねてはならない
  私に起こる人間関係の問題は、すべて私に原因がある
  世の中は頑張っても報われないものだ

認知:信念、推論の誤り、それらの影響を受けて起こる自動思考というプロセス全体
感情:認知の結果として生じるもの

認知療法:認知を変えることにより、感情の改善を目指す

認知の歪み:悲観的な信念を強固に持っているため、非常に一面的な物事の受け止め方に凝り固まっている状態にあり、それがいつも事実以上に自分を苦しめる方に偏っている

自分がどんな信念(認知)を持っているか把握する方法
①書き出し法
冷静なときに、さまざまな場面で自分にどんな自動思考が起こっているかを思い出し、書き出してみる
②チェックリスト法
巻末参照
③下向き矢印法
セルフ・カウンセリングの場面で有効
取り組むのは何かを漠然と不安に思ったり、恐れたりして、そわそわしているときが良い
「それが事実だとしたら、どういうことになるのか?」
糸から吊るした錘がまっすぐ地球の中心に向かうように、
下向き矢印法による自問自答を繰り返していくと、その答えは自分の中核信念へと向かっていく
その過程で媒介信念にも気づくことができるかもしれない

「自分はどんな信念を持っているのか」
「自分は本当は何を望んでいるのか」
「その内容を実現させるにはどうすればよいか」

「過去は変えられない。しかし、今、自分が選択している認知と行動なら変えられる」

行動分析
悪循環に陥っているときは、問題を外在化する
外在化:抱えている問題を自分から切り離し、客観的に見られるようにすること

出来事
 ⇓
認 知 「この認知をこう変えることはできないだろうか?」
 ⇓
行 動 「この行動をこう変えたら、次に起こる出来事はどうなるだろうか?」

「推論の誤り」=「考え方のクセ」
嫌な出来事が重なって余裕がないとき、とても疲れているときに現れやすい
✖一般化のしすぎ:部分を全体に広げてしまうクセ
✖自分への関連づけ:あくまでも自分を中心として、相手側にある理由を読み解こうとする
✖根拠がない推論:何一つはっきりした根拠がない
✖感情による決めつけ:判断材料が足りないときに、自分の気分感情を拠り所にしようとする
✖全か無か思考:好きか嫌いか、味方か敵か、善か悪か、成功か失敗かで物事を考える
✖すべき思考:道徳的には正しいが、あまりにもこだわっていて、窮屈で生きづらそう
✖過大評価と過小評価:他人の成功や長所は過大に評価し、失敗や短所を見逃す
 自分の成功や長所は過小評価し、失敗や短所は実際よりも過大に考える

「推論の誤り」を自覚する意義
 自動思考から距離をとりやすくなる
 そのクセに応じた修正の方法を考えやすくなる
〇一滴のインク技法=「一般化のしすぎ」の修正法
 プールはもっと大きなものだし、そこに落ちたのは一滴のインクに過ぎない
〇理由分析グラフ=自分への関連づけ」の修正法
 「自分に関する理由」が100%を占める円グラフを描いていた自分のおかしさに気づく
〇証拠集め技法=「根拠がない推論」「感情による決めつけ」の修正法
 観察法:対象を観察することによって証拠を集める方法
 実験法:自らの行動で相手の反応をたしかめることによって証拠を集める方法
 証拠を集めた結果、嫌われていることが明らかになった場合はこう考える
「問題がはっきりした分、前進できた。次はこの問題にどう対処するか考えよう」
〇グレーゾーン技法=「全か無か思考」の修正法
 「あらゆる事象は、全でも無でもない、白でも黒でもない、グレーゾーンに位置している」
〇must→better技法=「すべき思考」の修正法
「~すべき」「~しなければならない」という部分をゆるやかな表現に変える
 例外となる場合を考えて、その言葉を付け加える
〇「もう一人の自分」技法=「過大評価と過小評価」の修正法
 自分と同じ悩みを抱え、落ち込んでいる大切な友人に客観的で温かい言葉をかけてあげる

「行動実験」
基本的には人に迷惑をかけてはならない。しかし、いつも自分の都合や気持ちを押し殺し、相手の都合や気持ちを優先させる必要は無い。時には少しくらい迷惑がかかっても、率直に自己主張する方が、相手との関係は深まりやすいものだ」

「古典的条件付け」
動物が本来持っている生理的な反応ではなく、後天的に学習された、特定の刺激によって引き起こされた特定の反応(例:唾液分泌、発汗、震え、緊張、不安、恐怖)
そこにメリットがあるかどうかは必ずしも関係ない

健全な睡眠に至る古典的条件付け=布団に入ると眠くなる
睡眠障害の治療=「本当に眠くなるまで布団に入らないこと」
 読むと眠くなる本を持ち込むのはOK
「入眠儀式」
 眠くなるまで頭を疲れさせる勉強をする
 就寝の2時間ほど前にゆっくりと入浴する
 リラックス効果のあるストレッチをする
 リラックスできる音楽の鑑賞
 アロマ浴

「オペラント条件付け」
特定の環境(これを「先行刺激」といいます)で、特定の行動を取ると、特定の結果が得られる、ということを学習し、類似した行動を繰り返すようになる
その行動を取ることにメリットがある
オペラント条件付けを解除する方法=「メリット・デメリット分析」
「むちゃ食い」
メリット 寂しさを紛らわせることができる
デメリット 太る、吹き出物ができる
「デメリットがない方法」で同じメリットを得ることができないか考える
先行刺激と報酬に着目して、ターゲットとなる行動を具体的に変えていく
 
「逆制止の原理」
ある反応が体で起っているときに、それと相反する体の状態をつくり出す
不安・恐怖⇒全身の筋肉はこわばり、呼吸は浅く、速く、動悸がして、心拍数も上がっている
リラックス⇒全身の筋肉は弛緩し、呼吸は深く、ゆったりし、心拍数も落ち着いている
不安や恐怖を感じているとき、意識的にリラックスした状態をつくり出し、不安や恐怖と拮抗させる
「漸進的筋弛緩法」=日常生活にも非常に役立つ
体の各部位に力を入れてから一気に脱力し、その脱力した感覚を味わう
両手⇒両腕⇒両肩⇒首⇒顔⇒背中
「呼吸法」
鼻から大きく息を吸う⇒丹田を持ち上げる⇒息を止める⇒苦しくなる前に口から息を吐く

「社交不安障害」の治療
他人の目を通した自己像の歪みを改善する⇒ビデオ・フィードバック
「ミミズが這うようなじ字になったとしても世界は終わらない」

皆さんはなにが好きですか?
何をしているときが楽しいですか?
どんなふうに生きたいですか?

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