シート掛けができました |
冬季の多量の降雪の重さで屋根の下地が壊れたり茅葺き屋根の軒先が折れてしまいます
なので一入亭の茅葺き屋根には毎年晩秋にシートを掛けて茅葺き屋根が痛むのを防ぎます
要領
<手間> 一人一日6時間の作業で3日かかります
<材料> UVシート 13枚
PP紐 太さ6㎜ 200m
傘釘 150本
<道具> 梯子(大・中・小) 各1台
ヘルメット 1個
安全ベルト 1本
安全確保用ロープ(両端にカラビナ付き) 2本
手袋 1双
カラビナ 20個
ハサミ 1個
カナヅチ 1本
バール(小)1本
道具袋 2個
シートを掛ける前の茅葺き屋根 |
①道具(梯子を除く!)を身につけます
②PP紐を150㎝の長さに100本切ります
③シートを掛ける順に揃えて梯子の下におきます
梯子(はしご)掛け
①梯子を後中門に運びます
中門は主屋よりも棟の位置が低いので上まで梯子を掛けやすいのです
②大きな梯子を屋根の傾斜(45度)に合わせて掛けます
③梯子の接地部分の地面をスコップで20㎝掘って梯子が滑らないようにします
④大きな梯子の上端に小さな梯子を結びつけます
⑤さらに小さな梯子の上端をグシ(棟の部分)に結びつけます
後ろ半分のシートを掛け終わったら前中門に梯子を掛け替えます
前中門に掛けた梯子 |
グシの両斜面にアングル材が足場と支点兼用として取り付けられています
このアングルはグシの頂部をまたぐように番線で結ばれています
シートを運ぶ際にその番線に安全確保用のカラビナをかけておきます
グシの上を移動する際には安全確保用ロープをそのカラビナに掛けて転落を防止します
グシの番線にカラビナをかけ終わりました |
①梯子に一番近いところのシートを棟に持ち上げます
②シートを広げる際に上下左右の位置関係を確かめます
特に「谷」のシートはかたちが複雑なので間違えないように注意します
③上端をPP紐でアングルに90㎝間隔で結びつけます
④どうしても紐で結べないところは傘釘を打って止めます
アングルに結びつけられたシート |
なのでこの部分を細長いシートで覆い傘釘でグシに打ち付けて止めます
シートの下端はPP紐で止めます
落ちてきた雨水がたまらないようにシートのすそはたくし上げて紐で結びます
シート掛け完了です!
3日間の作業が終わりました
ぐるりと反時計回りに見てみましょう
シートの名前つきです
前左、前右 |
前右、あいだに半間幅のシートを足しました、前谷、前平 |
前谷、前平、前山 |
前山、後中、後左、後右 |
後中、後左、後右 |
後右、後谷 |
後谷、後平 |
後平、後山 |
後山、左中 |
前中、前左 |
一入亭のある新潟県北魚沼地方は毎冬大雪が降ります
そこは日本の豪雪地帯のなかでも特に積雪の多い特別豪雪地帯なのです
最も深雪になる2月にはずっしりと重い湿雪が3m以上に積もります
一入亭から最も近い気象観測地点(新潟県小出)の年ごとの最深積雪(㎝)は次のとおりです
茅葺き屋根の軒先は地面から3m以上の高さがあります
どっさりと積もった雪はたいへんな重さがあります
日本気象協会によると締まった雪の重さは1立方メートルあたり500㎏です
大きめの普通自動車の重さは1,500㎏ぐらいです
屋根の上に積もった雪は自動車が何台も乗っているような重量になるのです!
茅葺き屋根は雪の重さだけでなく他の原因でも傷みます
・屋根の表面の茅に凍りついた雪が、落下とともに茅を引き抜いてしまう
・屋根の雪掘りをする際にスノーダンプやスコップで茅葺を傷つけてしまう
こうしたことを防ぐために冬季は一入亭の茅葺き屋根にすっぽりとシートを掛けるのです
シートの形
一入亭の屋根には喜多村暁さん(故人)という屋根職人にシートを掛けてもらっていました
喜多村さんのシート掛けはシートを屋根の形に合わせて縫製する点がユニークでした
一入亭は家の前後に曲り家の出た中門造りという独特の形をしています
これを四角形のシートで覆うだけでは作業に手間がかかりシートもたくさん必要です
そこで喜多村さんは屋根の形状に合わせてシートを縫製することを考えました
具体的には下のように分割して屋根をシートで覆います
赤字がそれぞれシートの名前で全部で12枚あります
このうち前左、前右、前谷、前山、後山、後谷、後右、後左の8枚が縫製したシートです
あとの前中、前平、後平、後中の4枚は四角いシートをそのまま使います
それぞれのシートは広げると次のような形をしています
シートの縫製
シートは喜多村さんはブルーシートを使っていました
ブルーシートは安価ですが色合いがいまひとつなのとせいぜい三冬しか持ちません
今は色がシルバーで軽く耐久性の劣らないUVシートが出回っています
シート掛けを自分でやるのを機会にUVシートに徐々に更新していくことにしました
更新するには当然ながら8枚のシートを縫製しなければなりません
そこで生まれてはじめてミシン縫いをすることになりました
川越の家にあった古いミシンでやってみることにしました
ミシンを取り出してみるとページがバラバラになった取扱説明書が入ってました
表紙にはサイケなパンタロン(て、わかりますか?)をはいた娘がポーズしてます
うーん、やればできるかな?
試し縫いしたところなんとか出来そうなのでこれを一入亭に持っていきました
一入亭のチャノマ(17.5畳)にシートをいっぱいに広げてまず裁断します
縫う部分を洗濯ばさみで仮止めします
針は14番、糸は30番のスパンミシン糸ジーンズ厚地用を使います
上糸と下糸の調子を調整すると結構快適に縫えるようになりました
直線縫いで二重に縫います
ザクザク縫うのは思いのほか気持ちいいです
慣れてくると一つのシートを2時間ほどで裁断から縫製までできるようになりました
それにしても45年前のミシンがいぜん快調なのには驚きました
茅屋根がすっぽりとシートで覆われ冬を迎える準備が整いました
日本気象協会によると締まった雪の重さは1立方メートルあたり500㎏です
大きめの普通自動車の重さは1,500㎏ぐらいです
屋根の上に積もった雪は自動車が何台も乗っているような重量になるのです!
茅葺き屋根は雪の重さだけでなく他の原因でも傷みます
・屋根の表面の茅に凍りついた雪が、落下とともに茅を引き抜いてしまう
・屋根の雪掘りをする際にスノーダンプやスコップで茅葺を傷つけてしまう
こうしたことを防ぐために冬季は一入亭の茅葺き屋根にすっぽりとシートを掛けるのです
シートの形
一入亭の屋根には喜多村暁さん(故人)という屋根職人にシートを掛けてもらっていました
喜多村さんのシート掛けはシートを屋根の形に合わせて縫製する点がユニークでした
一入亭は家の前後に曲り家の出た中門造りという独特の形をしています
屋根図(屋根を上からみたところ) |
そこで喜多村さんは屋根の形状に合わせてシートを縫製することを考えました
具体的には下のように分割して屋根をシートで覆います
屋根シート図 |
このうち前左、前右、前谷、前山、後山、後谷、後右、後左の8枚が縫製したシートです
あとの前中、前平、後平、後中の4枚は四角いシートをそのまま使います
屋根シート展開図 |
シートは喜多村さんはブルーシートを使っていました
ブルーシートは安価ですが色合いがいまひとつなのとせいぜい三冬しか持ちません
今は色がシルバーで軽く耐久性の劣らないUVシートが出回っています
シート掛けを自分でやるのを機会にUVシートに徐々に更新していくことにしました
そこで生まれてはじめてミシン縫いをすることになりました
ジャノメ トピアエース802 1973年製 |
ミシンを取り出してみるとページがバラバラになった取扱説明書が入ってました
表紙にはサイケなパンタロン(て、わかりますか?)をはいた娘がポーズしてます
うーん、やればできるかな?
試し縫いしたところなんとか出来そうなのでこれを一入亭に持っていきました
一入亭のチャノマ(17.5畳)にシートをいっぱいに広げてまず裁断します
縫う部分を洗濯ばさみで仮止めします
針は14番、糸は30番のスパンミシン糸ジーンズ厚地用を使います
上糸と下糸の調子を調整すると結構快適に縫えるようになりました
直線縫いで二重に縫います
ザクザク縫うのは思いのほか気持ちいいです
慣れてくると一つのシートを2時間ほどで裁断から縫製までできるようになりました
それにしても45年前のミシンがいぜん快調なのには驚きました
早いもので、もうシート掛けの季節ですか。
返信削除ある冬の一入亭、凄い雪ですね! こんな景色になるんだ。
ミシン、今どき買う人はいるのかな? いろいろな発展は有るのだろうけど、基本的な性能は変わらないのでは? まさか足踏みじゃないよね?
パンタロン、懐かしすぎ!!
矢印は細線で!