2010年8月18日水曜日

吉村昭 2010年8月18日 高熱隧道(1967)


黒部第四ダムはまったくの異体です
大町から西に入った扇沢から関電トンネルをトロリーバスでくぐって行きます
すると黒部峡谷の真っただ中に巨大なコンクリートのアーチが現われます

このダムの下流に発電所を作るために黒部川にそった鉄道がまず必要でした

今は観光のトロッコ列車が走る黒部峡谷鉄道です


「高熱隧道」はこの鉄道を通すためのトンネル建設の物語です

どれほどの困難がありどれほどの犠牲を伴った事業だったのでしょうか

それが克明に描かれています



2010年8月1日日曜日

吉村昭 2010年8月1日 桜田門外の変(1990)


次男が近日封切りになる「桜田門外の変」を見たいという
その原作が吉村昭の本だと知ったのでまずそれを読むことにしました

その出来事は日本の歴史の転換点というべきテロ事件です
規模の大きい、周到に準備されたやくざの出入りという感じ

吉村はこの事件を一人の首謀者の視点から詳細に描きました
その人の生い立ちや実際に生活した場所、逃げ回ったところなどに訪れて盛り込んでいます
存命の人の証言は小説にリアルさをもたらしています

2010年6月17日木曜日

『密会』 吉村昭

NHKラジオの長寿番組に「日曜名作座」というのがありました

森繁久弥と加藤道子が、脚本された文芸作品を朗読しました

テーマ音楽と劇中曲の作曲は古関裕而でした

このシンプルな番組は50年にわたり放送されました


わたしの母はこの番組を枕元の小さなラジオでよく聞いていました

いつの頃からか二人の名優が展開する劇のおもしろさに心を惹かれるようになりました

原作は吉村昭というはじめて名前を聞く小説家でした


わたしは川越市の市立図書館でよく本を借りて読みます

その図書館の蔵書を「吉村昭」で検索してみると250冊ほど収蔵されていました

そこでまず「日曜名作座」の作品のイメージに近いこの本を借りてみました


この本は市井に暮らす男と女の関係を描いた短編集です

その後知ったことですがこの作品は吉村昭としては珍しい部類の作品でした