2023年3月20日月曜日

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン

いまだにガラケーを使っています
日常不便に感じることはありません
ガラケーの電話、メール、目覚まし時計の機能があれば十分です

それでも昨年3年ぶりに海外に出かけたときはスマホがあったほうがいいなと思いました
いろいろなサービスがインターネットを介して行われるケースが多かったからです
インターネットを使わないでサービスを受けようとするととても不便なのでした

PCは持っていますが海外へ行くときは邪魔なので持って行きません
PCが無くてもスマホがあればインターネットが使えます
なのでいよいよガラケーはやめてスマホに換えることにしました

ところがスマホはその弊害が気になります
わたしの身の回りにスマホに依存した生活をしている人を何人か見かけます
そのライフスタイルを見るにつけあのようにはなりたくないと思っていました
スマホ依存はカロリーやアルコールなどの過剰摂取と同様の悪影響があるのは明らかです

なぜそんなことになってしまうのでしょうか
つまりは人間の脳がデジタル社会に適応していないからというのがハンセンの見立てです
わたしたちを取り巻く環境と人間の進化の結果がミスマッチしているのです
そのためわたしたちの心に悪影響がおよんでいるのです

人間の歴史を見るとこのことがはっきりします
これまで人間はその出現から今まで99.9%の時間を狩猟と採取をして暮らしてきました
なので人間の脳は今でも狩猟採集時代の生活様式に最適化されています

狩猟採集時代の生活様式とはどのようなものだったのでしょうか
・50~150人程度の集団で暮らしていた
・常に移動し、住居も簡素だった
・生涯出会う人間の数は200人、多くて1,000人程度
・出会う相手はだいたい自分と自分と同じような外見だった
・全人口の半数は10歳を迎えずに亡くなった
・平均寿命は30歳足らずだった
・一般的な死因は飢餓、干ばつ、伝染病、出血多量、誰かに殺されること
・人口の10~15%は他の人間に殺された
・生き延びるために周囲の危険を常に確認していなければいけなかった
・積極的に身体を動かして食べ物を探さなければ、餓死する可能性があった

そのため人間には睡眠と運動が必要でありお互いへの強い欲求が備わっています
なのでこれらの三要素が減ると人間の精神は不調を来すことになります
現代生活の快適化は往々にしてこれらの三要素が十分に満たされない方向に進んでいます
そして心を病んだ人が世界中で大量に生じることになったのです

スマホをはじめとするテクノロジーに順応しようとすればするほど心に不調を来します
それはテクノロジーが人間の真の幸福を目的にデザインされていないためです
そのことを理解せずにスマホを使っていればそれに依存するようになります

それでガラケーからスマホにする前にスマホ依存の予防策を知っておこうと思いました
つまりデジタルデトックスの具体的な方法を考えようとしたのでした
そして読んだのがこの本です

この本にはスマホを過剰に利用するとなぜ危険なのかがわかりやすく説明されています
そのほかにも
「人間の身体と脳を形成してきた唯一の基本ルールは生き延びて、遺伝子を残すことです」
「ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人間の歴史の中で、負の感情は脅威に結びつくことが多かった」
「進化は良いものでも悪いものでもなく、私たちに意地悪するわけでも、都合のいいことをしてくれるわけでもない。地球上の生物はそれを基本条件として、今いる環境に適応していく」
「ストレスは脅威そのものに対する反応だが、不安は脅威になりえるものに対して起こる」
「もともとは生き残り戦略だったはずの脳のメカニズムのせいで、人間はデジタルのごほうびに次々と飛びつく」
「知能の処理能力には著しく限定された領域がひとつある。それは集中だ」
「テクノロジーのほうが私たちに対応するべきであって、その逆ではないはずだ」
「手書きの場合はいったん情報を処理する必要があり、内容を吸収しやすくなる」
「SNSは表面的には、人間のソーシャルコンタクトへの本質的な欲求を満たしてくれる貴重な場である。しかし、心の健康を増進するどころか悪化させることを調査結果が示唆している」
「社交生活の代わりにSNSを利用する人たちは、精神状態を悪くする」
「基本的にすべての知的能力が、運動によって機能を向上させる」
「運動やトレーニングをすることで、不安から身を守ることができる」
「いちばんいいのは、週に3回、45分、心拍数がすこし上がるような運動をするのがいい」
「元気でいるコツは、睡眠を優先し、身体をよく動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分をさらし、スマホの利用を抑えること」
などなどいいことがたくさん書いてあります

そして肝心のデジタル時代のアドバイスとは
・自分のスマホの利用時間を知ろう
・目覚まし時計と腕時計を買おう
・毎日1~2時間スマホをオフにしよう
・プッシュ通知もすべてオフにしよう
・スマホの表示をモノクロにしよう
・運転中はサイレントモードにしよう
・集中力が必要な時はスマホを隣の部屋に置いておこう
・チャットやメールをチェックする時間を決めよう
・人に会っている時はマナーモードにして少し遠ざけておき相手に集中しよう
・寝るときはスマホの電源を切ろう
・スマホを寝室に置かない
・どうしてもスマホを寝室に置くなら着信音を消してマナーモードにしよう
・寝る直前に仕事のメールを開かない
・ストレスの兆候を見逃さないようにしよう
・どんな運動も脳に良いので運動しよう
・最大限にストレスレベルを下げ、集中力を高めたければ週に3回45分、できれば息が切れて汗もかくまで運動するといい
・SNSは積極的に交流したいと思う人だけをフォローしよう
・SNSは交流の道具と考えよう
・スマホからSNSをアンインストールしてPCだけで使おう